轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆめどのさつじんじけん

夢殿殺人事件

小栗 虫太郎

「改造」1934(昭和9)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,755 字 · 55 页

青空文庫

「うん、まずそうだろうと思うが……」と法水は気のない頷き方をして、「所で、問題はこの油容器の内側にあるんだが……、現に今も見る通り、除れ易い足長蚊の肢が一本、油の表面から五分許り上の所に引っ掛かっているだろう。肢鉤の方が上になっていて、右の方へ斜に横倒しになっている。所が、胴はその方向にはなくて、却って反対側に――肢から一寸許り離れた左の方で、これは、油の表面に浮かんでいるんだ。それから考えると、容器の辺りを、胴体が何周りかした事が判るじゃないか。つまり、還流が起った証拠なんだよ。大体油時計そのものが、頗る温度に敏感であって、夜中燈火兼用以外には使えない代物なんだ、だから、当然それに、陽が当った場合を想像しなくてはならんと思うね。つまり、それを一口に云うと、油の減量につれて、蚊の屍体が肢鉤のある点まで下って来たとき――その時、犯人は小窓を開いたのだ。そうすると、陽差が容器の下方に落ちて、熱した油が上層に向う事になるから、当然表面の縁に、還流が起らねばならないだろう。おまけに、油の流出が次第に激しくなって行くので、時刻が飛んでもない進み方をしてしまったのだ。