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おおきなかに

大きなかに

小川 未明

「婦人公論」1922(大正11)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,912 字 · 12 页

青空文庫

それは、春の遅い、雪の深い北国の話であります。ある日のこと太郎は、おじいさんの帰ってくるのを待っていました。

おじいさんは三里ばかり隔たった、海岸の村へ用事があって、その日の朝早く家を出ていったのでした。

「おじいさん、いつ帰ってくるの?」と、太郎は、そのとき聞きました。

すっかり仕度をして、これから出てゆこうとしたおじいさんは、にっこり笑って、太郎の方を振り向きながら、

「じきに帰ってくるぞ。晩までには帰ってくる……。」といいました。

「なにか、帰りにおみやげを買ってきてね。」と、少年は頼んだのであります。

「買ってきてやるとも、おとなしくして待っていろよ。」と、おじいさんはいいました。

やがておじいさんは、雪を踏んで出ていったのです。その日は、曇った、うす暗い日でありました。太郎は、いまごろ、おじいさんは、どこを歩いていられるだろうと、さびしい、そして、雪で真っ白な、広い野原の景色などを想像していたのです。

そのうちに、時間はだんだんたってゆきました。外には、風の音が聞こえました。雪が霰が降ってきそうに、日の光も当たらずに、寒うございました。

「こんなに天気が悪いから、おじいさんは、お泊まりなさるだろう。