轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
「太陽」博文館、1925(大正14)年7月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,606 字 · 97 页
それは実に嘉永元年夏の初めのことであったが、母のお琴はお染を抱きながら、裏庭の縁で涼んでいた。すると最初口笛が聞こえ、次に鼬が現われた。アッと驚く隙もなく鼬はお染へ噛みついた。幸い手当が速かったので、腕へ歯形が印いただけで、生命には何の別状もなかった。ところが何と奇怪なことには、その翌晩にも口笛が聞こえ、同じ鼬が現われたではないか。そうして鼬はお染を追って、庭の植込の方へ行ったかと思うと、お染の姿が消えてしまった。
ちょうどこの頃城下外れに女軽業の大一座が小屋掛けをして景気を呼んでいた。女太夫の美しいのも勿論評判ではあったけれど、四尺に余る大鼬が、口笛に連れて躍るというのがとりわけ人気を博していた。
それで、自然疑いがその一座へかかって行った。官からも役人が出張し、厳重に小屋を吟味した。しかしお染はいなかった。誘拐したという証拠もない。どうすることも出来なかった。
伊丹屋夫婦の悲嘆にも増して、藤九郎の悲嘆は大きかった。
「彼奴は有名な悪党なんですよ。ええ、あの一座の親方って奴はね。ちょっと私とも知己なんで。釜無の文というんでさ。……ああ本当に飛んだことをした。