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だいこのは

大根の葉

壺井 栄

「文芸」改造社、1938(昭和13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,854 字 · 50 页

青空文庫

もやもやと湯気が立ちのぼっている。おじさんが窓を背にして、引出しのついた高いお膳にすわった。その前の大きなちゃぶ台をかこんで、右側に太郎と健がならび、左側に秀子とおばあさん、おじさんの真向かいのいちばん上り框に近い場所にお母さんがすわった。おばあさんとお母さんとのあいだには鍋とおひつがすわった。

「ほら、小んまい順々に。」

おばあさんがごはんをついでくれた。

「ほら、今度は大きい順々。」

お母さんが味噌汁をよそってくれた。今日は珍しく小さい煮魚がついている。秀子はおばあさんにそれをむしってもらった。太郎はお母さんにむしってもらった。健は家にいるとき、東隣の漁師のおっさんと仲よしで、毎日のように魚をたべつけているので一人でむしった。左の指でおさえては、握り箸をあやつってじょうずにはさんだ。ときどき左の手でつまんで箸にはさませて口に入れたりした。頭の上でぱっと十燭の電燈がともって、薄暗くなりかけた部屋が、急に明かるくなった。それを見上げながら健はごはんをかきこみ、ふと聞き耳を立てた。門の戸がしまる音がする。足音が近づいてくる。入口の障子戸が開いて誰かがはいって来た。