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たいしょうじゅうにねんくがつついたちよりのとうきょう・よこはまかんたいしんかさいについてのきろく
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,429 字 · 19 页
「どうでしょう、大丈夫ですか」と傍の男にきくと、
「私は下がわれると大変だと思って、地面ばかり見て居ます」と云う。
気がついて見ると Miss Wells が居ないので、堂々めぐりをして見ると Miss Wells は、玄関のところに立って居る。
内の方が安全だと云うので入り二度目の地震が来るまでに金をうけとり、Miss Wは銀座をぬけようと云うのに反対して、呉服橋から丸の内に出ると、内外ビルディングが丁度つぶれ、負傷した男が血まみれで、逃げようかどうしようかと、救を求めて居る。
もうその為電車はきかないので歩いてかえり始めると、警視庁の裏、青山の方、神田の方、もう一つ遠い方で火が見える。
その夜は空が火事のあかりで、昼間のようでゴーゴーと云う物凄い焔の音がした。
着物をきかえるどころではなく夜は外でたべ、ねむり八日に始めて二階に眠ろうとする。
ミスWは、Mrs. ベルリナに地震のサイコロジーを知りたいからそのつもりで居て呉れと云われたことが頭にあるので、先ず始めは落付き、傍の人や動作を観察し、すっかり心に覚え込み、先ずこれでよしと思ったら急にこわくなり膝がガタガタに震え出した由。