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だいのうしゅじゅつ

大脳手術

海野 十三

「富士」1945(昭和20)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,185 字 · 31 页

青空文庫

なおその上に良くないことに、今だにちょいちょい悪性のおできがふき出し、我慢のならぬ臭気を放つのであった。たった五千円ばかりのものだったから今になって贅沢をいえた義理ではないけれど、こうも悩まされるものと知ったなら、青春の方をもうすこし値段をねぎって、人並な脚を買うんだった。金さえあるなら今から良い脚を買い直してもいいのだけれど、残念ながら珠子との遊覧の旅にすっかり使い切って、実をいえば目下金策をあれやこれやと考慮中であるわけだ。

私が、この厄介な脛に膏薬を貼りかえているところへ、めずらしく鳴海が入ってきた。

「よう闇川。やっぱり帰って来たんだね」

鳴海はそういって、いつものように灰皿を探しあてると、それを持って私の前に胡坐をかいた。私は周章てて彼を叱り飛ばした。この第二世の脚を彼に見られたくなかったからだ。でも鳴海は、ふうんと呻ったばかりで、私の脚へちらりと一瞥を送り、あとは気にもとめていないという顔をした。

「珠子さんと一緒じゃなかったのかい」

「なにい……」

私は不意打をくらって蒼くなった。

「いや、機嫌を悪くしたら、勘弁したまえ。なあに、さっき珠子さんの後姿を見つけたもんだから……」