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だいのうしゅじゅつ
大脳手術
海野 十三
「富士」1945(昭和20)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,185 字 · 31 页
「ふん、理屈は分った。しかし実際はどうかなあ。いや、君の言葉を信用しないわけではない。それにいくら外科手術が進歩した現代かは知らぬが、マネキン人形を接ぐわけじゃあるまいし、生きた肢体の接合をするんだから、相当むずかしい筈だ。例えば、血管と血管との連結はどうする。また神経細胞の連結はどうする。これはたいへん困難なことだぜ」
「一向困難な問題ではない。太股のところでずばりと切断されると、その切口は直ちに写真に撮られ、そして現像後は壁一杯に拡大されて映写される。それから、接ぐべき脚の切口も同様に撮影され、拡大映写される。この二つはもちろん同一ではないが、同じ人類のことゆえ相似である。しかし接合するためには相似の程度では困るので、是非とも同一でなければならぬ、つまり骨、血管、神経、筋肉、皮下脂肪、皮膚などの配列状態がねぇ。そこで相似から同一へと、配列の調整が設計される。もちろんこれはまず骨と骨とを一致せしめ、血管、神経などはその後に順番に配列座標が決定される。それから配列替えの手術だ。電気メスと帯電器具と諸電極とを使ってこの手術は僅か五分間にて完了する。そうなれば太股の切口も、これに接ぐべき脚の切口も、はんこを捺したように同一の配列、太さ、形をとるわけだ。