轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
23 他生の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 页
「意気地なし」
後家さんから四たび突き飛ばされて、二間ばかり泳いで踏みとどまった浅吉は、
「それは御無理ですよ」
やはり恨めしそうに振返ったけれど、あえて反抗しようでもなければ、申しわけをしようでもありません。小突かれれば小突かれるように、むしろこうして虐待されたり、凌辱されたりすることを本望としているかの如く、極めて柔順なものです。
そうして、突き飛ばされて、突き飛ばされて、二人の姿は小梨平から見えなくなりました。
そのやや暫くあとで、机竜之助は、林の蔭から、こっそりと身を現わして、鐙小屋に近いところの岩間から湧き出でる清水を布に受けて、頭巾を冠ったなりで、うつむいては頻りに眼を冷し冷ししていると、小屋の中から手桶をさげて出て来た神主が、
「これは、これは――」
といって、竜之助の仕事を立って見ていましたが、
「それは利きますよ、水でなけりゃいけません、湯では本当の修行になりませんな……白骨の温泉の雌滝に打たれるより、この水で冷した方が、そりゃ利き目がありますよ」
「どうも、しみ透るほど冷たい水だ」
と竜之助が眼を冷しながら答えると、神主が、
「トテモのことに、室堂の清水まで行って御覧になってはいかがです、これどころじゃありません……それから一万尺の権現のお池へ行って、神代ながらの雪水をむすんでそれを眼にしめして、