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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
24 流転の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页
「弁慶様、大きいぞ、刀だけじゃ物たりねえ、七つ道具を担ぎ出してウンと暴れろ!」
と叫びました。
その声の終るか終らないのに、ズカズカと舞台をめがけて飛び出した者があります。
これぞ別人ならぬ仏頂寺弥助。
二十七
仏頂寺弥助は、ズカズカと桟敷から舞台の上へ出かけて行って、呀という間もなく弁慶の太刀を打ち落し、弁慶を引捕えて膝の下へ敷いてしまったから、驚いたのは舞台の上ばかりでなく、満場の客が呀といって総立ちの形です。
舞台の上では敵味方にわかれていた富樫の部下を初め、拍子木叩きや、楽屋番の連中まで、一時は呆気に取られたが、矛を取り直して、この意外な狼藉者を取押えて、弁慶を救い出そうという途端、仏頂寺弥助が眼を怒らして、
「言って聞かせるから、静まれ!」
と大喝しました。
その勢いの猛烈なところへ、同行の壮士二人と、丸山勇仙とが、続いて舞台の上へ飛び上り、
「静かにしろ、仏頂寺に言うだけのことを言わせろ」
と怒鳴りました。
その勢い、いかにも殺気満々たるものですから、誰もうかとは手出しができないでいるうちに、看客の中の気の弱いのは、先を争うて逃げようとする。