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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

30 畜生谷の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,962 字 · 145 页

青空文庫

まもなく、近づいたのを見ると、それはしかるべき大相撲の一行であります。

相撲連が、のっしのっしと大道を歩んで行く。その旗のぼりにはおのおのその名前が記されてある。こうしてかおみせのような勢いで、名古屋上りをするものと見えましたが、それに続いて夥しい人数が、後から後からと続いているので、往来が暫く遮断されたようなものです。米友はその夥しい後詰を見ると、直ちに、これは「折助だな」と感じました。それにしても、こんな大勢の折助が、まさか、名古屋城攻撃に出かけたわけでもあるまいが、折助もこうたくさんになると一勢力だ。天下の往来を、折助で独占してしまうこともできる。

見ると、これらの無数の折助連は、横綱、大関をはじめ、取的連のふんどしを、みんなして担いでいることを知りました。

「人のふんどしで相撲をとる気だな」

と、米友は冷笑してみたけれども、その何百千の折助のために、自分の車が動かなくなっていることを、如何ともすることができません。

三十九

これより先、女興行師の元締お角さんは、お銀様にかしずいて鳴海の宿を先発して、熱田の宮に参詣を試みたところです。