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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
30 畜生谷の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,962 字 · 145 页
「なるほど、金十郎氏は強い、武術の型を心得ていることでは日本一だ、金十郎氏が、安直先生の傍へ控えていてくれるので、全く心強い」
そのうちに、無礼講となって、オール折助連の芸尽しです。
やがて、芸者が出て来て、皿小鉢を叩きはじめました。
その中でも、老妓の糸助に、皿八というものが、正客の安直と、金十郎の前へ現われ、皿八がドンブリを叩き、糸助が、すががきを弾いて、
「おきんちゃ金十郎、コレきんちゃ金十郎」
と皿八がうたいながら、コンコンカラカラコンコンカラカラと、丼の音をさせたものだから、さっきからいい気持になっていた金十郎が嬉しくてたまらず、やにわに、すっぱだかになって踊り出しました。
「そうだ、ちげえねえ、そうだ、ちげえねえ」
と言って、座敷の真中へ出て踊り出したものだから、芸者連も乗り気になって、
「やっかいな金十」
と、糸助が三味線を弾きながら唄いました。
金十郎がそれにのせて、
「そうだ、ちげえねえ、おれはばかだ」
皿八がどんぶりを叩きながら、
「コリャ金十郎」
金十郎ひるまず、
「ちげえねえ、まんなかだ、おれは馬鹿だ」
糸助が、
「どう見ても金十郎、きんちゃ金十郎、チャララン、チャララン、チャララン、チャララン、金十郎のおきんや、景清にかまった……きんちゃ金十郎、きんちゃ金十郎」