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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

33 不破の関の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页

青空文庫

ずで毛唐から絞り取ろうというんでげすから、国のためになりまさあね、そうしてお前さん、元手いらずで現ナマを絞っておいてからに、なお毛唐人の精分を残らずこっちへ吸い上げてしまえば、結局、いながらにして向うの国を亡ぼし、攘夷の実が挙るというもんでげす、どうして日本人が、もっと早くここんとこへ目をつけなかったかと、金公、不思議に堪えられねえ儀でござんす」

計算好きな忠作も、この計算には面負けがしたらしく、苦笑いのほかにしょうことなしでいると、金公いよいよいい気になって、

「今時、お前さん、尊王攘夷のなんのといって、日本の国の愛国者はおれたちが一手専売てな面をして浪人共が東奔西走、天晴れの志士気取りでいるけれど、お前さん、攘夷という攘夷で、今まで儲かった攘夷がありますかい。早い話が、生麦の事件でござんさあ、薩摩っぽうが勇気凜々として、毛唐二三人を一刀に斬って捨てたのはまあ豪勢なもんだとして、ところでその尻拭いは誰がします、罰金四十四万両――拙者共は身ぶるいがするほどの金でござんさあ、この罰金四十四万両というものを、薩摩っぽうが毛唐を二三人斬った罰金として、公方様から毛唐の方へ納めなけりゃならねえ、運上所から夜夜中、こっそりと大八車へ銀貨を山ほど積んで幾台というもの、ミニストルへ引きこんで、只納めをして来た有様なんて