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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
33 不破の関の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页
その実物は、今ここで走らせたものの数倍のもので、これが機関という万力によって、このあとへ、人ならば二十四人乗りの車が三四十輌つながる、そうして、車輪も鉄であるし、特別の道路をこしらえて、これに鉄の二筋の輪道を置いて、その上を走らせる、だから鉄道を敷く費用は、日本の一里について三万両もかかることはかかるが、一度こしらえてしまえば永久に持つから、その利益は計るべからざるものであること――こうして一定の鉄路の上を走るから、車のとても重いのにかかわらず、速力は非常に早く、蒸気船よりももっと速い――一時間に三十哩、急用の時は五十哩は走らせることができるから、仮りに十二時間走り続けるとして、五百哩走ることができる。
江戸から京大阪を通り越して芸州の広島まで、一日のうちに往って戻ることができる――こういう説明が、見物のすべての魂を飛ばしてしまいました。
そうして、この原動力としては、単に鉄瓶の蓋をあげる湯気に過ぎないということ。ワットがその鉄瓶の湯気を見たばっかりに、この大発明が出来上ったということ。そうして蒸気の力というものは、単に船と車にばかり応用するものではない、川を渡るにも、水を汲むにも、山を登るにも、田を耕すにも、銅鉄の荒金を精錬するにも、毛綿の糸縄を紡績するにも、材木をきるにも、あらゆる器具を作るにも、