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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

33 不破の関の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页

青空文庫

「上方からは毛利大膳大夫が来る!」

ということになっている。

そうして、二つの結合点が、東から武田耕雲斎が来り、西から毛利大膳大夫が来て、明日にも関ヶ原で戦がはじまる、垂井の宿はその昔、天下分け目の関ヶ原の時にあわされたと同様な運命に落ちて焦土となる――というようなことになってしまっているようです。

これもまた、常識を加えるまでもなく、おかしいことです。西から毛利がやって来て、武田耕雲斎を相手に天下取りを、名代の関ヶ原で行うということは、少し釣合いがとれない。

今の毛利は、一族を以て日本全国を相手として戦い得るほどの力を備えているに拘らず、それが単なる武田耕雲斎を向うに廻さねばならぬというのは滑稽なことです。

果して、進むにつれて風聞がまた拡大してきました。

東から来るのは武田耕雲斎だけじゃない、水戸の中納言が、武田耕雲斎を先陣として乗込んで来るのだ。いや、引連れて来るのは武田耕雲斎だけではない、武州、相州、野州、房州、総州の諸大名が、みな残らず水戸様に率いられて来る!

それからまた一方、西の方から来るのは単に長州の毛利だけではない、備州も来る、雲州も来る、因州も、芸州広島も来る。