轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

37 恐山の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页

青空文庫

「こいつはどうも……」

小判と思って受取ったのが、急に木の葉になってしまったように、がんりきの百の野郎は呆れ果てて、その瓦っかけを見つめて、きょとんとしている。

「古瓦をおみやげに下すって、どうも有難う」

お蘭どのがわざと御丁寧に、がんりきの百の前へ頭を下げて、

「結構なおみやげを、たくさんにどうもありがとうございました」

二度、ていねいに頭を下げました。

「ちぇッ、つまらねえ」

さすがのがんりきの百の野郎もすっかりてれて、うんがの声が揚らない。自分の眼と腕とを信じ過ぎたのか、信じ足りなかったのか、全く狐につままれたような思いで、

「こういうはずじゃなかったんだが」

「いや、そういうはずなんですよ、宮川べりで精分を抜かれておいでなすったから、物忘れをなすったんだわ。それはまあお茶番として、お笑い草で済むけれど、済まないのはこれからの、わたしの身の振り方――それから差当りの路用の工面。こればっかりはお茶番では済まされない、真剣に工夫をしなけりゃ、第一、ここの宿の払いでさえ……」

お蘭どのが、いやに意気地なくなった時、がんりきの百はうんと一つ息を呑込んで、

「もう大丈夫、相当のものをものにしようとしたから当り外れがあるんだ、その日その日の小出しなら、なんの心配があるものか」