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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
テレきったけれども、その底には相当の緊張したものが流れている。三人ともに白けきったけれども、三すくみではない。それぞれ一歩をあやまてば取返しのつかない綻びが転がり出すことをよく心得ていながら、表面はテレきって、それを、何と取りつくろおうともしないところに、剣の刃を渡るような気合がないでもない。
このままでは際限ないから、そこは、新参の押しかけ客分としての引け目で、がんりきの野郎が左の手を延べて、
「御免を蒙りまして」
と言って、秋草の襖へ手をかけたのです。そうしてするすると二三寸、最初、お銀様の座敷の第一関を開いた時の要領で、二三寸あけて見ると、意外にも中は真暗でした。
はて、人がいて、かりにも物を売ろう買おうと声がかかってみた以上は、起きていたのか、或いは寝ていても起き直って、どちらにしても燈心ぐらいは取敢えず掻き立てていなければならないはずなのに、中は真暗であって、且つその暗闇を救うべくなんらの努力をも試みていないらしいことは、薄気味の悪い上に、更に薄気味の悪いものになっている。
だが、こっちは、こうなってみると意地にもひるめない。
がんりきの野郎は、意地を張って、一段としらばくれた調子で、