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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
それに向って、お角さんがたずねました、
「どうしたのです、これはまあ、惨たらしいねえ、どうして早く取片づけてあげないの」
「へへえ」
と番太が、おぞましい声で返事をしました。それをも、お角さんは、煮えきらない返事だと思って、
「お見受け申したところ、立派なお武家たちじゃありませんか、何はどうあろうとも、早くこのなきがらを取片づけて、人前に曝さないようにしてあげなけりゃ、恥ではありませんか」
とお角さんが、事のあまりに無情なると、緩慢なるとに憤りを発して、こう言いますと、番太は、この女の人からお叱言を食う筋はないというような面をして、
「へへえ――ところが、どうも、お相手がお相手でござんしてな、お奉行も、お代官も、お手がつけられやしまへんさかい」
「なんにしても、いけませんね、こうして、一匹一人のおさむらいを、曝しものにかけて置くのは無慈悲というものなんです、なんとかしてあげられないものかねえ」
「それがその、お相手がお相手でござんしてなあ」
「相手が相手だって、お前さん、お上のお手をお借り申せば、どうにかして上げられそうなものじゃないか」
「それが、その――このお武家をお斬りなはったのは、壬生の新撰組の衆でござりましてなア」