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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
打って返したような折りかがみをして、お角さんが一行を引連れて、山王様の御門前の方へとゆらりゆらり出かけて行ってしまいました。
土方一行も、それから間もなく、村役人を先に立てて、例の修羅場の名残りの場へと進発し、そこで、一応の検分をしてから、死体を取片づけさせてしまいましたが、ほどなく馬に乗って、大津の方へと急がせて行く土方歳三――沖田総司が一人ついている。
「土方先生、あれは何です、あの伝法肌の女は、あれは――」
「は、は、は」
と、土方が高らかに笑い、
「松坂屋の一件ですか」
と沖田からたずねられて、土方が笑いながら、そうだとも、そうでないとも言いません。
そうだとも、そうでないとも言わないのは、つまり黙認の形です。
たずねてみれば、この連中としてはたあいのないことでした。
土方歳三が、武州日野在から出て、上野の松坂屋へ丁稚奉公に入れられたのは、十六七の頃でもあったろう。歳三だから、歳どんとして丁稚をつとめているうちに、その女中の一人といい仲になってしまった。
歳三は右に言う如く、小柄で、色が白く、それにお洒落ときているから、女の方が夢中になって、とうとうお腹がせり出してしまった。