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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

37 恐山の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页

青空文庫

よくあることで、女中と出来合って悶着が起ったのを、男の方は何とかいう、あっちの堅気の名主様かなにかが出て、あやまったし、女の方はわたしが頼まれて口を利いてあげただけの縁なんだが、その歳どんが、新撰組の頭になっていようとは、全く夢に夢を見るようだ。兄貴がエライのかも知れないが、当人だって、馬鹿ではあの役はつとまるまい。馬鹿どころか、あの子はあの時分から、目から鼻へ抜けるような子だったねえ。働きもあるだろうが、行末が思われる――と、よけいな心配をしてやったが、あの色男が新撰組の頭になろうとは、わたしも思いがけなかったねえ。なにしろ、いい面になったものさ。おかげで、わたしもなんだか急に肩身が広いような気になってしまった。京都へ行ったら、ぜひひとつ、訪ねてみることだねえ、魔除けになるかも知れない。

魔除けといえば、お前さん、いつのまにか、あのいやがらせの三ぴんやよた者の姿が見えなくなった。笑わせやがらあ、わたしが新撰組の頭と近づきだと知ったもんだから、逃げたんだよ。

お角も、そこで、今までの鬱気が晴れて、いい気持になりました。

それから帰るまでのお角さんの身辺には、不思議に例のいやがらせの三ぴんや、よた者が近づきませんでした。