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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

41 椰子林の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页

青空文庫

駒井がここへ来て、新しい研究に熱中の度を加えたとの評判は、お喜代の眼にばかりではない、誰の眼にも、舌を捲いて感歎するものがありましたけれども、それを何でもないことに解釈するのは、七兵衛入道ひとりだけに過ぎません。

三十四

神尾主膳は、上野へ行って輪王寺の門跡について、覚王院の義観僧都を訪ねましたけれど、その日は面会ができませんでした。

それでも、ひるまずに竜王院の執当をたずねてみたが、それもおりから不在とのことです。

そこで、憤然として山を蹴って出づべきだが、今日の主膳は、左様な侮辱にひるまないで、更に、輪王寺の重役、鈴木安芸守をたずねて、ここでは意外の珍客としてもてなされたものだから、いくらか溜飲を下げて、そこで、久しぶりに安芸守信博と対面をしました。

本来、今の神尾の身で、供もつれずに、覚王院や竜王院を突然に訪ねてみたところで、猊下へ通すまでもなく、玄関子がよろしく取計らってしまうことは、わかりきったことで、神尾主膳としても、その辺の常識は無ければならないのですが、いささか覚悟の前であったのでしょう、そこで山に於ては、前二者に次ぐ役人としての有力者、鈴木安芸守にぶっつかると、直ちに諒解されたのみか、意外の珍客としてもてなされる気色さえあったものですから、神尾も、こうなければならない