轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

41 椰子林の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页

青空文庫

その逃げたあとへ、若干の勇気というものが取戻されたものですから、やや本心にも返ったし、本来、こうして、この年で、水気たっぷりな侘住居をしているくらいですから、心臓の方も、さのみ老いてはいなかったのでしょう。

「それはお気の毒な、まあ、ちょっとお起きあそばせ、おぶ漬を一つ差上げましょう、何ぞ粗末な有合せで」

「そうですか、それはかたじけないです、では、御免を蒙って」

と、寝ていた弱気の侵入者は起き直りましたが、ほんとうにこれはこの世の人ではない、病みほうけ、疲れきって、その様、全く哀れげに見えるものですから、老尼はいよいよ気になりました。

侵入者は、起き直ったとはいうものの、立って挨拶をしようではありません。蒲団の上に突伏すように坐り込んだなりで、物を考えているよりは、哀れみを乞うているに似たこの姿がいじらしい。

侵入者をいじらしがるわけもないものだが、老尼は、もうこっちのものだと思いました。傷ついた虎は吠える犬にもかなわない、という見極めがすっかりつきました。

六十四

それからしばらく、侵入者は、さっぱりとした取合せのよいお膳について、箸を与えられました。