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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

41 椰子林の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页

青空文庫

十二

盆ゴザの中央へ坐り込んだ途端に、がんりきの百が、無けなしの片腕を内懐ろへ逆にくぐらせたと見ると、パッと片肌をぬいでしまい、それと同時に着物の裾をひんまくった源氏店、つまりこれが俗にいう尻をヒンマクる形だと関守氏が、見て取りました。今時は芝居でよく見る形、悪党がかけ合いをする時の常作法、尻をマクルというやり方を舞台では見るが、本場はこれがはじめて、下品極まる伝統的作法ではあるが、下品のうちにも作法は作法、こうしたものかと見ていると、

「まず壺振りの芸当始まり――こうして諸肌ぬぎの、本式は諸肌なんですが、ここは片肌で御免を蒙りやすよ、こう尻をヒンマクる、これ壺振りの作法でござんして、つまり、こりゃ野郎のみえでするんじゃございません、さあ、この通り潔白、頭のてっぺんから、毛脛の穴まで見通しておくんなせえ、イカサマ、インチキは卯の毛ほどもございやせん、という、潔白を証拠立てるヤクザの作法の一つなんでさあ――」

と説明を加えたことによって、関守氏がまた改めて覚りました。

大肌ぬぎになったり、尻をヒンマクったりすることを、このやからのみえであり、強がりの表示であるとのみ見ているのは誤りで、なるほど、頭のてっぺんから毛脛の穴まで見通してくれという、潔白表明の作法から来ているのかな、一挙一動でも、その