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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

34 白雲の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页

青空文庫

婆はありのまま、これこれこういうわけで金持になったと教えたら、慾タカリ婆は早速家さ帰って、豆を座敷に転がして、それを地蔵さんの前まで転がして行って、地蔵さん地蔵さん、豆さ転がって来えんかと尋ねたが、地蔵さんは何とも返事をしないのに、慾タカリ婆は勝手に地蔵さんの膝の上へのぼったり、手のひらへ上ったり、肩の上へのぼったり、頭の上へのぼったりして、とうとう梁の上までのぼった。そこへきのうのように鬼どもがぞろぞろと博奕打ちにやって来た。慾タカリ婆は、コケッコーと鶏の啼く真似を、地蔵さんが指図もしないのに三遍やって鬼どもの前へ下りて行ったら、鬼どもはウンと怒って、さてはきのうおれたちをだましたのはこの婆だな、と言って慾タカリ婆をさんざんにハタいて瘤だらけにしてしまったとさ」

オイセとチョウセ

オイセとチョウセ

老女の昔話の一くさりが終ると、きっかけに茂太郎がまた頓狂な調子を上げましたが、あたかもよし、その時に月が上り出したのです。

「ああ月が――」

船のうちが、ひとしく、いま海波の上にゆらゆらのぼりかけた月を見て、鳴りをしずめてしまいました。

田山白雲が水墨を取って、大きく紙面にうつした松島月影の即興図に、玉蕉女史は心得たりとあって、さらさらと次の絶句を走らせる。