轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
34 白雲の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页
一旦はやみくもにどちらへ逃げようとも、やがては、月ノ浦をめざして慕い寄ろうとする心持はよくわかるから、西南北へ向って遠く走り過ぎる心配はない。マドロス並びに兵部の娘らしいのが、万石浦を小舟で渡ったというのを見た者があるというから、これは、いずれその辺の、木の根、石の蔭に当分こらえていて、たまらなくなれば這い出すのだ、この方は発見にそう骨が折れない! と、田山白雲は最初からタカをくくっているのです。
いずれにしても、円心はこちらにある、牡鹿、桃生、志田、仙台の界隈をそう遠く離れるに及ばないということを、白雲は白雲なみに断定して、漫然とこの北上川の沿岸を漂浪しているうちには、何とか手がかりがあるだろう。奥羽第一の大河としての北上川の沿岸をぶらついているうちに、その風光を画嚢に納めなければならない。本来はこの方が本業なのだが、ここに白雲の仕事がまた一つ加わって、つまり、一石四鳥の目的のために、当分はこの辺をぶらついて、ということに思案を定めました。
その思案が定まった時分に、番頭が蔵から七兵衛おやじからの預り物、つまり、房州洲崎の暴動の際に、手早く、かき集めて、ここまで持って来てくれた白雲の財産――といっても、写生画稿が主であって、一般経済の上には大した価値のある代物ではないが、自分の丹精の無事なのを見て、