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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
34 白雲の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页
態度のいけ図々しいのに反して、その取りしきりぶりと、物言いとは、行届ききったもののようですから、白雲がいよいよ手がつけられない気持がしました。
「うむ、そうか、それは何から何まで厄介千万になったが――お前という男は何者だ」
「いや、それは、あとでお船のうちで、ゆっくりと身の上話を聞いていただく時節がございましょう――とにかく、これだけのことを申し上げて置きまして……」
「そうして、お前はなにか、これから旅立ちをしようというのらしいが、どこへ行くのだ」
「いいえ、旅立ちというほどじゃございません、ちょっと、この辺をかけめぐってみたいような虫が起りましたものでございますから。なあに、病気がなおりますと、直ぐにまたあなた様のおあとを追いかけて、石巻へ参ります」
「そうか」
白雲は、それよりほかに何とも言いようがない。憮然として、なお燈下にうずくまる男を見下ろしていると、右の老爺は平蜘蛛のような形をしているのが、気のせいか、見ているうちに平べったくなって、畳にべったりくっついてしまっているように見えて、白雲も少し気味が悪いような気分にさえなりました。
ぴったりと畳の上へ、一枚になって、吸いついた形になって、顔だけを上げて、蛇籠作りの老爺は、