轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

34 白雲の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页

青空文庫

「月ノ浦」

「ほいほい、月ノ浦、それもなかなかの道じゃござんせん、坊ちゃんはその月ノ浦から歩いてこれへござらしたか」

「小舟で来たよ」

「小舟で――七兵衛さんと一緒に?」

「ううん、七兵衛おやじは……」

と言って、茂太郎がハッと田山白雲の方を見返りました。

「知らないよ。さあ、ムク、行こう、オイセとチョウセ、オイセとチョウセ、オイセとチョウセ――」

こう言いながら一散に飛び出したものですから、ムク犬も、そのあとを追いました。

十八

それから暫くたって、再びお松がこの場へ来て見た時分には、茂太郎も、ムクも、無論いないし、写生に凝っていた田山白雲の姿も見えなかったが、例のイヤな桶屋さんだけは、抜からぬ面で頑張っていたものですから、うんざりせざるを得ませんでした。

そこでお松は、田山白雲をと思って、庫裡から客殿の方をたずねてみましたけれども、今日は早帰りをしたと覚しくて、杖も、下駄も見えません。

また庭へ戻って見ると、イヤな桶屋さんは相変らず頑張って、こんどは聞きたくもない鼻唄まじりでいるのが、いよいよ憎らしい。といって、退いて下さいとも言えず、ぜひなくお松はまた舞い戻って、ではともかく、一旦は宿へ引取ってからと思いました。