轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
34 白雲の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页
遠くもない新月楼へ来て見ると、田山先生も先刻お戻りになったにはなったが、お客様からお誘いが来てどこへかおいでになったとのこと。お松は部屋へ戻って、ひとまず休息して、また出直そうと思いました。
だが、出直すにしても、桶屋さんがあの調子では手もとの見える間は、あすこからみこしを上げそうにもない。しかし、いかに頑張ることが好きな人とはいえ、夜になればイヤでも仕事をやめて立ち上らなければなるまいから、いっそ夕方まで我慢して、黄昏時に行けば間違いはない――とこう思案して、お松は焦立つ心をおさえながら、田山白雲のためにも、何かと夕餉の仕度をととのえたり、部屋のうちを片づけたりして待っておりました。
しかし、白雲先生も今日はまたイヤに気が長い、お連れが出来てどこへか行かれたそうですが、そのお連れはどちらの方か、いつぞや案内をうけたという、仙台の女学者で高橋という先生ででもありはしないか。
そんなことを考えている間に、いつしか日も海に沈みました。
もうよい時分――と、お松が例の包みを抱えて外へ出た時分に、月が上っていました。月が松島湾の曲々を限りなく照していました。