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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
中里介山『大菩薩峠19』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 页
「ははあ、安然大和尚、一名あねさん――」
「その通りでござんす、これが安然大和尚の爪髪塔なることは、歴然として考証も成り立つし、第一、磨滅こそしているようですが、よくごらんになりますと、ここにこれ、もったいなくも『勅伝法――五大院先徳安然大和尚』と銘がはっきり出ております」
「ははあ、なるほど」
道庵がまだ注意しなかった石の側面に、なるほど立派に右の如く読める文字が刻してある。そこで、中年僧(実は長安寺の住職平田諦善師)は安然和尚に就いて、その来歴を次の如く道庵先生に語って聞かせました。
三十七
五大院の安然に就いては、「本朝高僧伝」には次の如くに記してあります。
「初め慈覚大師に随つて学び、後、辺昭僧正に就いて受く、叡山に五大院を構へ屏居して出でず、著述を事とす、元慶八年勅して元慶寺の座主たらしめ、伝法阿闍梨に任ず、終る所を記せず、世に五大院の先徳と称し、又阿覚大師と称す、著、悉曇蔵八巻あり」
また「元亨釈書」と「東国高僧伝」とには次の如く要領が記されてあるのであります。
「安然は伝教大師の系族なり、長ずるに及び、聡敏人に邁れ、早く叡山に上り、慈覚大師に就いて顕密の二教を学びてその秘奥を極む、又、花山の辺昭に就いて胎蔵法を受く、博く経論に渉猟し、百家に馳聘して、その述作する所、大教を補弼す、所