轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

中里介山『大菩薩峠19』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 页

青空文庫

避難といえば、今の伊太夫の身辺に、何か急に迫る危険が予想されたのかというに、急にそうあるべき事情もないことはわかっている。そもそも伊太夫、今日の旅路というものが、極めて微行の形式で、関西の名所めぐりということになっているが、その実は、やっぱりあの胆吹山の麓に根を張っている、やんちゃ娘の女王様の動静が、さすがに親心で気にかかる、それを見届けんがための旅立ちということが、内心の主力を占めているのですから、まだ当分は、胆吹と相望むところのこちらの湖岸を離れることにはなるまいと思われる。お角親方にしたところが、このお大尽に附添うていることの限りに於ては、あえて、そう京阪地方に一日を争わなければならぬ兼合いはないものと見なければならぬ。

悠揚として迫ることの必要のない伊太夫が、今晩避難の意味を兼ねて湖中に出でたということは、どうも表面見ただけでは、その内情を察するに難い。さては、あのがんりきの百とやらの小盗人めに覘われて、つき纏われる煩わしさからのがれようためか。まさか、藤原の伊太夫ともあるものが、タカの知れたゴマの蠅一匹のために、陸上に身の置きどころがないという解釈も、あまりに浅ましい。