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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页

青空文庫

頼朝がここに集めた関八州の兵は、総勢二十八万騎ということだから、かなりの人数でありましたろう。義貞が北条勢を相手にした時は、太平記によると、

「義貞追ひすがうて、十万余騎を三手に分けて三方より同じく鬨を作る、入道恵性驚きて周章て騒ぐ処へ、三浦兵六力を得て、江戸、豊島、葛西、川越、坂東の八平氏、武蔵の七党を七手になし、蜘手、輪違、十文字に攻めたりける、四郎左近太夫大勢なりと雖も、一時に破られて散々に、鎌倉をさして引退く」

茂太郎は程よきところへ蓆を敷きました。弁信はその上へ乗って、後生大事に抱えて来た琵琶を、そっとさしおいてから、きちんと座を構えると、つづいて茂太郎が前と同じように介添役気取りで、少し前へ避けて坐り、さて、弁信は再びおもむろに琵琶の調子をしらべにかかると、

「茂ちゃん」

「何だエ」

「淋しいねえ」

「ああ」

「何か、音が聞えるよ」

「何の音が」

「轡の音が聞えるよ」

茂太郎は何の音も聞くことがないのに、弁信は聞き耳を立てて、撥を取り直そうとしません。

「轡の音が聞えるよ」

「どっちの方から聞えるの」

「東の方から」

「嘘だろう、東の方からじゃない、土の下から聞えるんだろう」