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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页
という噂を聞いたものですから、お絹が躍起になったのも無理はありません。
堅いようでお目出度い殿様――人交わりのできない女を相手にして、れっきとした家柄を棒に振ってしまうし、今度はまた女軽業の親方風情に翻弄されて、おまけに大金をつぎこんでいる。それほどのたあいない殿様を、自分の手に入れることができないとあってみれば、意地にも我慢にも腹が立つ。それに、お角という女、何かにつけて自分に楯をつくのみならず、ややもすれば自分を取って押えて、上に乗ろうとするような仕打ちを見せるのが癪だ。
どちらからいっても、この分には済まされない。そこで自分の自信も満足し、お角という女をとっちめる最上の策は、駒井能登守を生捕ることだ。そうすれば一挙両得で、戦わざるにお角の陣営は崩れてしまう。こうして神尾を当座の足場として置いて、お絹のこれからの仕事は駒井を生捕るということに集中させる。まだ整理しきれない座敷の中で、その晩お絹は、行燈の下に机を置いて、一心に手紙を書き出しました。
二十三
青梅の裏宿の七兵衛は、この時分、裏宿の家におさまって、雨降り仕事に、土間へむしろを敷いて、藁を打って、しきりに草鞋をこしらえておりました。