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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页

青空文庫

その不鍛練が今になっても恥かしい。相手の虚無僧の只者でないことが思われてならぬ。それ故に、この傷が一層痛んで寝られない。それともう一つ……兵馬は改めて女に向い、いとまじめに、

「今日は暇乞いのつもりで来ました。それについて、そなたへ打明けてのお願いがある、とりあえずここへ僅かながら金子を持参致した、拙者の帰るまで、五日か長くて十日の間、これをそなたに預っておいてもらいたい、それと共に、その間はそなたの身に変りのないように、そなたはこの万字楼を動かないように起請をしてもらいたいのだ」

といって兵馬は、蒲団の下に置いた一包の金子を取り出して、東雲の前に置きました。

「まあ、足もとから鳥の立つように。旅にお出かけなさるのですか……そうしてこのお金を、わたしに預かれとおっしゃるのは?」

「かねがね話してもおきました通り」

兵馬は思い切って語り出でようとする時、廊下に人の歩む音があって、

「東雲さん、東雲さん」

「はい」

その声を聞くと女が、そわそわと立ち上り、

「少しの間、待っていて下さい」

にっこりと愛嬌を見せて行ってしまいました。

その翌日、結束して江戸を離れて、例の甲州街道の真中に立った宇津木兵馬。