轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页
うっとりとして、自分の足も六所明神の社内を、冷たく歩いているのではなく、魂は宙を飛んで、温かい閨の燃えるような夜具の中に、くるくると包まれてゆく心持になってゆく時、ヒヤリとして胸を衝いたものは、
「あなたの心を、お松の方に向けていただきたいのです、そうしませんと、あの子はいちばんかわいそうなものになってしまいます」
といまいい残して行った七兵衛の一言がそれです。
十四
狭山の岡というのは、武蔵野の粂村あたりから起って、西の方、箱根ヶ崎で終る三里ほどの連岡であります。武蔵野の真中に、土の持ち上っただけのもので、その高さ二百歩以上のところはなく、秩父から系統を引いているわけではなく、筑波根の根を引いているわけでもなく、いわば武蔵野の逃水同様に、なんの意味もなくむくれ上って、なんの表現もなく寝ているところに、狭山連岡の面白味があるのです。
狭山の尽くるところに、狭山の池があります。その中に小さな島があって、ささやかな弁天の祠がまつられてある。府中の六所明神の社頭で兵馬と別れた七兵衛が、ひとり、こっそりとこの弁天の祠に詣でたのは、その翌日の真昼時であります。