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ふうふともかせぎとじょしのがくもん

夫婦共稼ぎと女子の学問

大隈 重信

「大和なでしこ 第十二卷第四號」大日本女學會、1912(明治45)年2月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,995 字 · 6 页

青空文庫

また学問を用いる機会も無いとは一概に言えぬ。独身の婦人は独立自営の道を立てねばならぬから、教育の必要なるは言うまでもない事であるのみならず、すべて女子は妻たり母たると同時に、人としての人格を保って行かねばならぬ。人としての人格を保って行くには学問の必要なること論を俟たない。

妻として母として学問の必要なることは、これを生活問題から見ても益々その必要を感ずるのである。栄枯盛衰生者必滅とは古い文句であるが、常に新しい意味を持っている。夫にして一朝事業に失敗するとか、あるいは長い病蓐に臥すとかいうことの起った場合には、今まで家庭に燻っていた妻が奮然立って外に働かねばならぬかも知れぬ。夫に先立たれて、子供はある、老父母はある、「弱き者よ、汝の名は女なり」と基督は言ったが、弱くてはこの重荷は負い切れぬ。教育ある女子にして、初めて期待し得べきことである。学問は二六時中役立てることを必要とせぬ。必要とせぬとは言え、子女の教育、召使の感化、学問の効能は十分証拠立て得らるるが、此処ではそれは論じない。一朝事あるの時、拭き掃除の襷を外し、決然として一家の運命を背負って立つ、自信あり力量ある婦人は、なんと頼母しいものではあるまいか。