轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めおとぜんざい

夫婦善哉

織田 作之助

「海風」1940(昭和15)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,643 字 · 61 页

青空文庫

お辰は、それみたことかと種吉を嘲った。「私らに手伝うてもろたら損や思たはるのや。誰が鐚一文でも無心するもんか」

お互いの名を一字ずつとって「蝶柳」と屋号をつけ、いよいよ開店することになった。まだ暑さが去っていなかったこととて思いきって生ビールの樽を仕込んでいた故、はよ売りきってしまわねば気が抜けてわや(駄目)になると、やきもき心配したほどでもなく、よく売れた。人手を借りず、夫婦だけで店を切り廻したので、夜の十時から十二時頃までの一番たてこむ時間は眼のまわるほど忙しく、小便に立つ暇もなかった。柳吉は白い料理着に高下駄という粋な恰好で、ときどき銭函を覗いた。売上額が増えていると、「いらっしゃァい」剃刀屋のときと違って掛声も勇ましかった。俗に「おかま」という中性の流し芸人が流しに来て、青柳を賑やかに弾いて行ったり、景気がよかった。その代り、土地柄が悪く、性質の良くない酒呑み同志が喧嘩をはじめたりして、柳吉はハラハラしたが、蝶子は昔とった杵柄で、そんな客をうまくさばくのに別に秋波をつかったりする必要もなかった。廓をひかえて夜更くまで客があり、看板を入れる頃はもう東の空が紫色に変っていた。