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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
10 暴君の死
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,841 字 · 22 页
栄華を極めた昔の外国の君主にあやかって、国内から千人美女を募られては如何でございましょう」
物事に工夫の多い三文字紋弥は、大変なことを言い出しました。
「千人美女――それは少し多過ぎるではないか」
大膳正も少しく辟易します。
「いえ、御領内から千人の美女を集め、千人から百人を選び、百人から十人を選び、最後の十人のうちから、殿御自身の御鑑定で御思召に叶った美人を一人だけ選び取られるので御座ります」
「成程、それは面白かろう、早速その手配をするように、万事は三文字紋弥、其方に申し付けるぞ」
「ハ、ハッ、昔の褒、飛燕、貴妃などいう絶世の美人は、悉くそうして選び出されました」
そんな出鱈目なことを言って、三文字紋弥は早速領内に美女狩出の大運動を起しました。
封建時代の領主の中には、城の物見に立って、望遠鏡で城下を通る見目よき婦人を物色し、有無を言わせずに引入れて枕席に侍らせた例もあり、ひどいのになると、櫓の上に立って、自分の鉄砲の腕前を試すために、城下を通る町人を、鳥を撃つように撃ち殺した大名さえあります。
阿武隈大膳正が、御国入の一年間を慰めるため、領内から美人を漁ったところで、当時の常識から言えば、大した暴政でなかったのかも知れません。