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おんなのいっしょう
女の一生
森本 薫
「女の一生」文明社、1946(昭和21)年10月刊、初演は1945(昭和20)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,068 字 · 25 页
章介 なんだ、おまえは自分のことを考えて戦争が長くつづけばいいと思っているのか。
栄二 いや。そんなわけじゃないけれど……新聞でみると、アメリカの大統領が金子堅太郎男爵に講和の方策を考えておくようすすめているそうじゃありませんか。そんなに急に講和する様子があるのでしょうか。
章介 そこまでのことは俺達にはわからんがね。しかしたとえば今度の戦争が急にここで終ったとしても、お前達の働かなければならない戦争はまだまだこれからいくつもあるよ。
栄二 そうでしょうか。
章介 というより、これからの日本の生きて行く道というものがすべて戦争だと思わなければ。テオドル・ローズベルトの提議にしてからが、好意的に仲裁の用意があるという程度のものじゃない。戦争をやめなければ貸してある金を返せという、態のいい戦争中止命令だ。何故そんなお節介をするのか。日本がアジアの大陸であまり大勝利を得ると困るからだ。その戦争はどうして起ったかといえば、ロシヤが清国を侵して朝鮮を脅かしたからだ。ヨーロッパやアメリカの国が何か思い立つ度に日本は、戦争をしたり、やめたり、取るべき理由があって取ったものを還したりしなくちゃならんのだ、そりゃ一体どういうわけだい。