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おんなのれきし
女の歴史
宮本 百合子
そこにある判断と責任の姿
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,332 字 · 15 页
今日、私たちが、責任を知るというとき、しろと云われたことは何でもやる、死んだ思いでするという判断のない服従からの行為を意味するのではなくて、人間として、職業婦人としての生活をしているものとして、するべきこととしない筈のこととの判別を明瞭に自覚してゆく意味だと思う。
せめて遊ぶ余裕ぐらい、とどこかに肱をついているような自分の心持を自身で見なおしてゆく態度、それが責任だと思う。
恋愛についても、結婚生活についても、このことはやはり云える。自分の生きかた、心持に責任を感じていなくて、どうしていい恋愛や結婚が出来よう。第一、いい恋愛とかいい結婚生活とかいう、その判断の自分としてのよりどころを、どこにおいていいかもわからないだろう。
この責任という感情は、人間のいろいろの感情の発達の、最も高い段階に属する感情の一つである。未開人は責任の感情というものが極めて粗朴の状態におかれている。人間生活への思意が複雑明瞭になって来る度につれて、さながらしずかにさしのぼる月の運行に準じてあたりの山野が美しい光に溢れて来るように、人間の美しい精神の輝きとしての責任の感情もひろく、深く、大きいものとなってゆくのである。