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おんなのけっとう
女の決闘
「月刊文章」1940(昭和15)年1~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,661 字 · 75 页
女房は真っ直に村役場に這入って行ってこう云った。「あの、どうぞわたくしを縛って下さいまし、わたくしは決闘を致しまして、人を一人殺しました。」
第五
決闘の次第は、前回に於いて述べ尽しました。けれども物語は、それで終っているのではありません。火事は一夜で燃え尽しても、火事場の騒ぎは、一夜で終るどころか、人と人との間の疑心、悪罵、奔走、駈引きは、そののち永く、ごたついて尾を引き、人の心を、生涯とりかえしつかぬ程に歪曲させてしまうものであります。この、前代未聞の女同士の決闘も、とにかく済んだ。意外にも、女房が勝って、女学生が殺された。その有様を、ずるい、悪徳の芸術家が、一つあまさず見とどけて、的確の描写を為し、成功して写実の妙手と称えられた。さて、それから事件は、どうなったのでしょう。まず、原文を読んでみましょう。原文も、この辺から、調子が落ちて、決闘の場面の描写ほど、張りが無いようであります。それは、その訳です。今迄は、かの流行作家も、女房の行く跡を、飢餓の狼のようについて歩いて、女房が走ると自分も走り、女房が立ちどまると、自分も踞み、女房の姿態と顔色と、心の動きを、見つめ切りに見つめていたので、従ってその描写も、どきりとするほどの迫真の力を持つことが出来たのでありますが、いま決闘も終結し、女房は真っ