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おんなのけっとう

女の決闘

太宰 治

「月刊文章」1940(昭和15)年1~6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,661 字 · 75 页

青空文庫

また、この不幸の芸術家は、女の芸術家というものをさえ、てんで認めていませんでした。当時の甘い批評家たちが、女の作家の二、三の著書に就いて、女性特有の感覚、女で無ければ出来ぬ表現、男にはとてもわからぬ此の心理、などと驚歎の言辞を献上するのを見て、彼はいつでも内心、せせら笑って居りました。みんな男の真似ではないか。男の作家たちが空想に拠って創造した女性を見て、女は、これこそ真の私たちの姿だ、と愚かしく夢中になって、その嘘の女性の型に、むりやり自分を押し込めようとするのだが、悲しい哉、自分は胴が長すぎて、脚が短い。要らない脂肪が多過ぎる。それでも、自分は、ご存じ無い。実に滑稽奇怪の形で、しゃなりしゃなりと歩いている。男の作家の創造した女性は、所詮、その作家の不思議な女装の姿である。女では無いのだ。どこかに男の「精神」が在る。ところが女は、かえってその不自然な女装の姿に憧れて、その毛臑の女性の真似をしている。滑稽の極である。もともと女であるのに、その姿態と声を捨て、わざわざ男の粗暴の動作を学び、その太い音声、文章を「勉強」いたし、さてそれから、男の「女音」