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おんなのさかなうり

女の魚売り

小川 未明

「赤い鳥」1922(大正11)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页

青空文庫

」と、この家の主人は聞きました。

「新しいにも、なんにも、もうすこし前まで、かごの中で、ぴんぴんはねていたのです。」と、女は、主人の顔を見上げて答えました。

「なに、昨日捕れたのだろう。」と、主人は冷笑いながらいいました。すると、女は、ほおをすこし赤くしながら、

「まだ、生きています。」と答えました。

主人は、じっと、かごの中のたいをながめていました。ほんとうに、たいのうろこは、一つ一つ、紅い貝がらのように、ぬれて光っています。目は、真っ黒に、なんでも見えるように澄んでいました。

「なにっ、生きているって。こんなに、じっとして動かないものが、生きているはずがない。死んでいるものを、生きているなんてうそをつくな。」と、主人はいいました。

「ほんとうに、海から、上がったばかりなのですから、どうか買ってください。」

「こんな古い魚は、うんと安くまければ買ってやるが、それでなければいらない。」と、主人はいいました。

「まだ、これで生きています。海の水に入れば、泳いではねます。どうかそういわないで買ってください。」

「もし、この魚が生きていたら、みんな買ってやる。もし、この魚が死んでいたら、みんなおれに、ただでくれるか。