轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おんなけんし
女剣士
「小説新潮 第八巻第八号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,694 字 · 74 页
大雨で山くずれがあったのだ。このために下流では洪水になった。山くずれは一二ヶ所にとどまらない。また今後も山くずれの危険が予想されるので、応急の土木工事から、かなり大がかりの治山治水工事に切りかえられたのである。
ダム工事などとちがって下流の村里に直接影響のある工事だから、人夫は飯場の土方よりも麓から通ってくる村人の数の方がはるかに多かった。女の人夫も少くなかった。その中にお作がいたのである。
むろん服役中のことで夜は牢屋まがいの小屋へカギをかけて閉じこめられるのだからお作とできるヒマはなかったが、お作が彼を憎からず思っているに相違ないと存八はきめこんだのである。
存八は天性の怠け者であった。人殺しや強盗などには勤勉でよく働くのが多いものだが、コソ泥などというチャチなのに限ってグウタラで、人目を盗んで精一パイ怠けたがるのが多い。その中でも存八は特別で、隙さえ見ればキリもなく怠けたくて、働くぐらいキライなことはなかった。怠けてさえいれば退屈しないというのだから始末がわるい。こういう性分の存八には、もしも働くことさえなければタダで食わせてくれて失業のない刑務所ぐらいの天国はめったに見当らないのだが、ここも働かせるのが好きなのが玉にキズだ。