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にょきゃくいっしゅうかん
女客一週間
豊島 与志雄
「新潮」1931(昭和6)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 页
ただ、バーを――彼女はその小さなバーの二階に寝起していたのだ――飛びだしたが、訪ねていった家の当が少しちがって、今晩泊るところに困ってるのだった。
「あとで、また、ゆっくりお話するわ。」
そして、別に他意ありそうもない笑いだ。
「まあそんなことは、どうでもいいさ。酒でも飲まない?」
ホワイト・ホースをコップの水にわったのを、彼女は一杯だけうまそうに飲んだ。があとは、水だけだ。今晩は酒をのんではいけないのだという。煙草は? やめたといって手をださない。それが、意志の力で抑えているのではなくて、如何にも自然に振舞ってるのらしい。
「少し、てれちゃうね。」
島村はウイスキーのコップを手にしながら、苦笑した。
「あなたは、飲んでもいいわ。」
そんなことで、遅くなってしまった。もう女中たちも寝ていた。それはいつものことだ。夜遅くやって来る者があったり、夜更けまで話しこんでゆく者があったりするが、それに構わず、女中たちは十二時頃に寝ることになっている。そうでないと、子供のある家では、秩序が立たないのだ。
「兎に角、寝るところを拵えてあげよう。」
「いいわ、あたしここに寝るから。