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おんなごうとう

女強盗

菊池 寛

「新大阪新聞」1947(昭和22)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,200 字 · 11 页

青空文庫

いろいろ品物がはいっているから、その中で気に入ったものを運んでいらっしゃい。その近所には、かし車屋があるから、それを頼んだがよいと云った。云われる通りの蔵を見つけて開けて見ると、ほしいと思うものが、充満していた。それを運んで来て、平生使っていた。

こんなにして、一年以上過ぎた頃である。その女がある日、いつになく心細気な顔をして涙ぐんでいる。どうしたかといって訊くと、(あなたと本意なく別れるようになるかもしれない)と、云うのである。どうして、今そんな事を云うのかときくと(いや世の中と云うものはそうしたものである)と答えた。男は、ただ口先だけで云うことだとあまり気に止めていなかったが、それから数日して、例のように供人を連れ、馬に乗って外出した。外出先で一泊して、あくる日帰ろうとすると、いつの間にか馬も供人も居なくなっている。驚き怪しんで家に帰って見ると、その家は焼き払われて、三人の女は影も形もない。六角の北の蔵の所へ行って見たが、その家もすっかりとりこわされていた。男は初めて女のいったことが思い合わされた。その後、男は結局習い覚えた強盗を働いて世を送っている内、捕えられて、この話を白状したのである。