轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
「文学界」1936(昭和11)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,514 字 · 36 页
お春を呼んで、普段は使っていない離れの茶室へ火を入れさせた。今日は女中たちを遠ざけて、園子と相談をしなければならない更った心構えである。茶菓の類も、園子がみえない前から運ばせておいた。やがて、内玄関に気配がすると、老夫人はいつものように出迎いには出ず、先きに離れへ入って待った。
今年六つになる末の女の子をつれて園子が入ってきた。
「お母さま、お茶を点てて下さるの?」
めずらしそうな顔で炉端へ坐って、
「今日はね、この子のお誕生日なので、五もくを拵えましたの。お母さまお好きのようでしたから……」
云いながら膝の上に置いた重箱の蓋を取ってみせた。
「それはまあ、御馳走さまだこと。このお祖母ちゃまはうっかりお祝いを忘れていましたねえ。ごめんなさいよ」
老夫人は孫の頭を撫でて詫びた。そこへ、おしもがニコニコした顔で入ってきて、
「お待たせいたしました」
と云って、盆へのせた小皿を差し出した。
「云いつけもしないのに何んで持ってくるのです」
突然、老夫人は険しい声音で叱りつけた。叱られることには慣れているおしもも、今日の主人のものいいにはいつもと異った用捨のならぬ厳しさを感じて怖気立つのだが、手をついて畏まっているその顔が癖のニコニコと笑っているのには気が付かない。