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じょせいのげんじつ

女性の現実

宮本 百合子

「オール女性」1941(昭和16)年2月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,124 字 · 7 页

青空文庫

女性の働くあらゆる場面を通じて、どうせ若い女の働くのは二三年という観念がじつにつよい先入観となっている。どうせ二三年なのだから、と粗悪な条件のまま交代させているのだけれど、先頃婦人工場監督官谷野せつ氏が公表された統計では、働く女性たちは三年目ぐらいからぐっと体をこわしているのである。

事変になってから乳児の死亡率の高くなったことや若い母の流産死産のふえたことも、やはり人々の注意をひいたことであった。

婦人は社会的に働いても永続性がないからと、女性の能力の低さの一つとしていわれるけれども、この事の一面には、働かせる側からのどうせ二三年という先入観が原因とも結果ともなって複雑に作用しているのである。

現在日本全国の工場では二百二十余万人の女が活動しているのに対して、婦人の工場監督官としてはおそらく谷野せつ氏一人であるという日本の姿は、婦人の勤労生活のどういう事情を語っているだろうか。

大規模に災害防止研究所が創立されるそうだけれども、そこには特に女子の労働生活からこうむる影響の研究のために、どんな専門部が置かれるだろう。私たち女性は、組織の形はどのようでもいいから、本当に社会に役立っている女性の肉体と精神の健全のために具体的な助力を与える実力をもった組織がほしいと思う心は切である。