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じょなん

女難

国木田 独歩

「文藝界」1903(明治36)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,695 字 · 45 页

青空文庫

私を見て、

『くだらないこと言ってらア、酔っぱらいに取り合っても仕方がないからうっちゃっておきましょう』と言いながらズンズン私の宅に入るのでございます。私もお俊の後についてうちへ帰りました。

『誰がくだらないことを焼きつけたのだろうねえ、ほんとにしようがないねえ』とお俊はこう言って、長火鉢の横に坐って、そこに置いてあった煙草を吸うておるのです。

『明日の朝になればなんでもないサ』と私もしょうことなしに宥めていましたが、お俊が帰りそうにもないので、

『静かになったようだから見て来たらよかろう』と言いますと、お俊は黙って起って出てゆきましたから、私はすぐ蚊帳の内に入ってしまったのでございます。ところが間もなくお俊は戻って参りまして、

『よく寝ているからそとから戸締りをして来ました』と澄ましているのです。

『そしてお前さんどうするのだ』と私は蚊帳の内から問いました。

『私はこうして朝まで寝ないでいてやるのサ』

『そんなことができるものか、帰って寝たがよかろう』と申しますとお俊はじれったそうに『うっちゃっておいて下さいよ、酔っぱらいだから夜中にまたどんなことをするかわかるもんじゃアない、私ゃこわいワ、』