轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

つまのざ

妻の座

壺井 栄

「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页

青空文庫

しかしミネはうれしいのだ。そのうれしさの中には、自分は弁当を届けるだけの妻ではなく、この弁当を、同じ目的で集った大ぜいの人たちと一しょにたべられる女であることのよろこびも含まれていたろう。無学な、貧しい労働者の娘であるミネを、こういう集りに参加させる女にまで引っぱってきたのは、何といっても悠吉の力が一番大きい。どなる悠吉、妻や娘をあごで使うことに不自然を感じない悠吉の中に、妻を引っぱって肩を並べてゆこうとするものも隣りあっているのだ。なれあって、それをなれあっているとも感じないほど古さを引きずっている夫婦であるかもしれないけれど、同じ弁当をもって集ってゆく夫婦というものは、そう多くはいない。ミネの先輩である高木千恵子の夫婦があり、かつて川島貞子の夫婦があった。だが高木千恵子の夫は今日はこないだろうし、川島貞子の方はもう今では夫婦ではない。三組の夫婦は永いつきあいの中でさまざまな風雪をかぶり、戦争をくぐってきた。そうして、今日晴れがましく壇上に立つのは高木千恵子である。戦争中の年月を泥までかぶってしまった恥多いミネたちの処世にくらべて、風に向って胸をそらしていた高木千恵子の堂々さは、終戦と共に大きな力とかげをもって溢れる泉のようにみんなの心にしみこんでいた。