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つまのざ
妻の座
壺井 栄
「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页
」
「姉さんは、わたしの方が悪いと思うの。」
くちびるをふるわせて問題からはずれたことを閑子はいう。
「どっちが悪いとかいいとかじゃないさ。そりゃあ、うわっつらを考えたら野村さんて人は歯がゆいさ。いつまでも死んだ人にかかずらっているなんて、人生を後ろむけに歩いてることになるもの。新しい生活をもり立てようとしないでさ。それではいつがきても前に進まない――」
「だから死にたい、死んで奥さんのところへゆきたいってかいてある。」
「まさか、いくらなんだって、それじゃあもとも子もない。」
「だってほんとだもの。私がうそをついてると思う?」
またいきり立ちそうなのをあわてておししずめるように、ミネは小さな声になり、きげんをとるようにいった。
「そんな男ならよけいあきらめいいじゃないか。閑ちゃんには悪いけどもさ、もどってよかったってことになるわよきっと。だから、あきらめなさいよ。」
「もちろんよ。だから戻ってるじゃないの。今ごろは奥さんの位牌を抱いてねてるわよ。」
閑子の言分はミネにがっかりぐせをつけて、そうなるともう言葉がつづかなかった。しかし、これが血をわけた自分の妹なのだ。