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めいご

姪子

伊藤 左千夫

「アララギ」1909(明治42)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,570 字 · 12 页

青空文庫

のだ上ってる積りではねいと云っても、伯父さん一寸寄っていくってそら何のこったかい、そんなこと云ったって駄目だ、もうおれには口は聞かせない。

上って見ると鏡のように拭いた摺縁は歩りくと足の下がぎしぎし鳴る位だ、お町はやがて自分も着物を着替て改った挨拶などする、十になる児の母だけれど、町公町公と云ったのもまだつい此間の事のようで、其大人ぶった挨拶が可笑しい位だった、其内利助も朝草を山程刈って帰ってきた、さっぱりとした麻の葉の座蒲団を影の映るような、カラ縁に敷いて、えい心持ったらなかった、伯父さん鎌を六丁買ってきて、家でばっかそんなにいるかいちもんだから、おれがこれこれだと話すと、そんなら一丁家へもおくんなさいなという、改まって挨拶するかと思うと、あとから直ぐ甘えたことをいう、そうされると又妙に憎くないものだよ。

あの気転だから、話をしながら茶を拵える、用をやりながらも遠くから話しかける。

「ねい伯父さん何か上げたくもあり、そばに居て話したくもありで、何だか自分が自分でないようだ、蕎麦饂飩でもねいし、鰌の卵とじ位ではと思っても、ほんに伯父さん何にも上げる